ライターになりたいんだって言ってるでしょ

わたしはとにかくライターになりたい。とにかくとにかくとにかくライターになりたい。言葉ってすばらしいんだもの。すてきなんだもの。ライターになりたいと夢見て早15年。21歳女学生のぽつりぽつり。

昼焼き肉でござい

穏やかな土曜日。午後14時過ぎ。

突如として肉が食べたくなった私は彼氏に付き合ってもらって近場の人気焼肉店へ。 

夜なら予約かつ順番待ちをしないと入れない店なのだけど昼はやはり少し空いているらしく、1テーブルだけ空いていたところに丁度滑り込みセーフ。


よくあるテーブルの中に焼き場(あれはなんという名称なのか)が埋め込まれているタイプではなく、卓上にどんとまあるい焼き場(だからなんという名称なのか)が置いてあるタイプだ。

あまり広くない店内はひたすらに肉を焼く音と遠慮のない量の煙で充満していた。とても良い雰囲気。

安いのにおいしいと評判の店だがお互い3000円しか財布に入ってなかったので計算をしながら注文する。

今日は腹ぺこでいつもよりいっぱい食べれそうだとライスの中を注文したらとんでもない量のライスがでてきた。これ大でしょって感じの。

焼肉を頼むときの注文は食べたいものを2つくらい彼に伝えておいたらあとは彼が適当に見繕って注文してくれるのが常だ。そして毎回頼みすぎて後々大事(おおごと、ね)になる。


結果はやはり大事。早めにもう食べられませんとギブアップしたわたしは残りの肉とライス中盛を全て彼に託してひとりデザートを楽しむ。

彼はというと自分もライスの大盛を頼んでいるし肉は減りそうにないしできっと私よりもかなり満腹状態にあるのだろうが私を前に白旗を挙げられないらしく余裕ぶって全部引き受けてくれた(顔はひきつっていた)。

デザートを食べていると、ある酔っ払い団体(おじさんと若いお姉さんとで構成されているグループ)の店員への怒号が聞こえた。

素敵な休日の昼下がりに贅沢に焼き肉を食べて、なにを怒鳴ることがあるのかしらと、横目を見やる。

なんだかなあと思った。どういう流れかは省略するが、完全に店員は悪くない。


5、60のおじさんに見えたが、そんな態度しかできない人生を60年こつこつと積み上げてきたんだろうかと。そしてこんなことを21のちんちくりん大学生に思われていると考えたらなんだかおじさんが可哀想にみえてきた。

そんなことを考えているとすでに白旗状態の彼と目があった。

帰ろうか、と一声かけられて、席を立つ。
先ほど怒鳴られた店員が会計をしてくれた。いい笑顔だった。よかった、大丈夫そうだと思った。

ちなみに2人とも3000円しか持ってなくて冷や冷やしていたが、合計額は4400円だった。安い。


店を出てすぐ、おじさんたち怒鳴っていたね、と彼に言ったら、彼は少しだけ微笑んで、何も返さなかった。

まあ、話題にすることでもないかと思って私も何も言わなかった。

もしかしたら、怒鳴られた店員も、彼も、大したことではないとあまり気にしていなかったのかもしれない。それならよかったとやはり思うし、私だってそうなろうと思った。


でも、焼肉店を出てのまず第一声はこんなことではなく、美味しかったね、の一言がベストだったのではないだろうか。

あと、食べてくれてありがとうの感謝も伝えるべきだった。反省だ。


おじさんも家に帰って反省しているかもしれない。あのときちょっと言い過ぎてしまったなあと。


そういうことにしておこう。